読了: いつも「時間がない」あなたに

Ken published on
8 min, 1470 words

Categories: 書籍

**『いつも「時間がない」あなたに』**を読んだ。

読み始めてから2割くらいはクドクドと同じことが書いてあるというか、また同じ話題を引き合いに出すというか、似たような事例を載せるというか、読んでいて苦痛だった。
こんな内容ならいっそのこと読むのをやめてしまおうか?と思うほど。
だけど、2割を超えたあたりから面白くなってきた!

初めに書いてあることを頭に叩き込んでおくことで、その先に書いてあることが理解できるというか、だいぶ読みやすくなるし、言いたいことがわかってくる。
そのためにも初めは結構クドクドと書いてあるのは仕方ないと思うけど、面白くなる前に嫌になる人も多数いそう。

内容

ネタバレにならない程度の内容。
キーワードはこれら。

  • トンネリング
  • 欠乏
  • 処理能力
  • スラック

目の前のことに気を取られて(トンネリングが発生し)、金銭や時間の欠乏が発生すると処理能力が低下して悪循環に陥る。
これを回避するためにはスラック(余裕やゆとり)が必要なんだけど、人は効率化を目指すために余剰を埋めたがる。
さらに、時間を気にする人はいるが、処理能力を気にする人はあまりいない…という話。

これがしっかりと書いてある本なんだけど、ここに書いてあることを分かる人はどれだけいるのだろうか?
こういう経験があった上で、それをきちんと説明されたらだいぶ理解が進むけど、そういう経験なしにこの本を読んでも実感は薄いと思う。

この本は面白いか?と聞かれると苦痛な部分もあるのでおすすめしづらいが、読んだ価値はあると感じたし、自分でも思っていたことが文章として整理されているので、感覚から確信に変わった感じがする。
この内容を他の人と共有しようとか、これについて説いてまわろうとか、そういうのは難しい。

仕事

数年前から「仕事は少し余裕がある方が安定するんじゃないか?」と思い、あまりガッツリとしないように試していた。
実際に試してみたところ、手戻りが少ないというか、無駄が減ったというか、安心感が高い気がしている。

試す前は「少し余裕を持たせても大丈夫だろうか?」と気になるところもあったけど、今となってはガッツリとしすぎない方が絶対にいいと思うくらいの感覚でいる。

他人の仕事っぷりを見ていると忙しそうにしていたり、いろいろと詰め込んでいたり…止めたくなる気持ちもあるんだけど、説明したところでわかってもらえるとは思えないし、自分もガッツリと仕事をしていた時期もあるから今はそれでいいんだと思う。
経験が浅い人にいうのは逆効果と思っているのも、他人には言わない理由のひとつ。

難しいのは他人との感覚の違い。
あまり仕事を詰め込み過ぎない方がいいと実感している自分と、時間を効率的に使うべくいろいろと詰め込もうとする人。

単行本!

今年に入って単行本が出たらしい!

いつも「時間がない」あなたに: 欠乏の行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
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たいていは電子書籍の方が安いんだけど、さすがに文庫本の値段には敵わないか。 文庫本のKindle版も出るのかな?