どれが目的?手段が議論の主役!?

Ken published on
12 min, 2352 words

Categories: 仕事

最近、多くて困るのが会話の流れが読めないこと。
手段を論点にされることで、何を話したいのか探るのに時間がかかってしまい、意味のない会話が長引くこと。

旅行の会話

例えば、こんな会話があったとする。

A: 沖縄旅行に行きたいんだよね〜。
B: いいねぇ。沖縄だと飛行機だね。
A: それが、飛行機代が高くて困ってるんだよね。
B: 毎日の浪費を節約して飛行機代を捻出しないとね!
A: もう、捻出できるお金なんてないよ〜。
B: じゃ、副業?バイト?いずれにしても飛行機代を稼がないとね。
A: 仕事して疲れてるから副業やバイトができないから困ってるんだよ。
B: それじゃ、ボーナスまで待つの?あ、お金を借りるのだけはやめた方がいいよ。
A: お金を借りることは考えていないから大丈夫。
B: 沖縄には行けそうにないねぇ…。
A: しかも、沖縄に行ったら数日泊まりたいから宿泊費も高く付きそうだし…。
B: そうだよねぇ…。
A: 別に沖縄じゃなくていいんだけどね!
B: ん?
A: 最近旅行に行ってないからどこかに行きたいだけで、近場の熱海とか箱根でもいいんだよね!
B: それなら飛行機代ほど高くないし、日帰りか一泊なら安く済みそうだね。
A: 沖縄に比べたらね〜。

日常の会話としてはなんの問題もない。
お互いに会話を楽しめばいいだけのことであるが、これが仕事やプロジェクトのように状態を進めたいと考えている場合は話が進まなくて困る。

旅行の会話 - 状態遷移

上の会話を 目的手段 などを意識して読んでみる。
文中の [◯◯] はBの意識。

A: 沖縄旅行に行きたいんだよね〜。

[目的] 沖縄旅行
B: いいねぇ。沖縄だと飛行機だね。
A: それが、飛行機代が高くて困ってるんだよね。

[手段] 飛行機で移動
[課題] 飛行機代が高い
[課題解決案] 浪費をしない
B: 毎日の浪費を節約して飛行機代を捻出しないとね!
A: もう、捻出できるお金なんてないよ〜。

[前提] 節約による捻出はできない
[課題解決案] お金を稼ぐ
B: じゃ、副業?バイト?いずれにしても飛行機代を稼がないとね。
A: 仕事して疲れてるから副業やバイトができないから困ってるんだよ。

[リスク回避] お金は借りない方がいい
B: それじゃ、ボーナスまで待つの?あ、お金を借りるのだけはやめた方がいいよ。
A: お金を借りることは考えていないから大丈夫。
B: 沖縄には行けそうにないねぇ…。
A: しかも、沖縄に行ったら数日泊まりたいから宿泊費も高く付きそうだし…。

[前提] 数日宿泊したい
B: そうだよねぇ…。
A: 別に沖縄じゃなくていいんだけどね!

[目的] 沖縄旅行…じゃなかった!?
B: ん?
A: 最近旅行に行ってないから少し遠出して気分転換したいだけで、近場の熱海とか箱根でもいいんだよね!

[目的] 気分転換のための遠出
B: それなら飛行機代ほど高くないし、日帰りか一泊なら安く済みそうだね。
A: 沖縄に比べたらね〜。

Bは会話のはじめに「目的は沖縄旅行なんだ」と認識したため、沖縄旅行実現に向けてお金を工面する話をしている。
しかし、AはBの話を否定するばかり。
Aの「沖縄でなくてもいい」という発言によってBは目的を再認識(再設定)している。

なぜAは「気分転換のために遠出したい」という目的を話さずに「沖縄旅行に行きたい」といい出したのだろうか?

Aは自分の目的を把握しているため、それを実現するための選択肢のひとつとして「理想」や「希望」を挙げたまで。
ここに他意はなく、Aとしては「沖縄旅行に行くことで目的が達成できる」ことに違いはない。
しかし、Bは「沖縄旅行でなければ目的が達成できない」と勘違いしてしまっている。

今回の会話は最後にAが「沖縄でなくてもいい」と言ったことで収束に向かっているが、Bが提案し、Aが否定することをもう少し繰り返すケースも多いと思っている。

旅行の会話 - どこが目的?

A: 気分転換に旅行行きたいんだよね〜。
B: いいね!どこに行くの?
A: 沖縄に行ってみたいんだよね。

この会話でBがどれを目的と認識するかで状況が変わる。

A: 気分転換に旅行行きたいんだよね〜。

[目的] 気分転換をしたくて旅行を考えている
B: いいね!どこに行くの?
A: 沖縄に行ってみたいんだよね。

上記の認識であれば、沖縄が無理そうなら「沖縄じゃなくてもいいんじゃない?」と本来の目的を達成するために会話が進むことが期待できる。

A: 気分転換に旅行行きたいんだよね〜。
B: いいね!どこに行くの?
A: 沖縄に行ってみたいんだよね。
[目的] 沖縄に行く

この認識だと、Bは沖縄に行くための提案を繰り返し、いい案がなければ「沖縄は諦めるしかないね」と話が終わりそうである。

会話で気を付けること

日常会話なら上記のようなことなど気にせず、会話を楽しめばいいと思う。
しかし、プロジェクトではなるべく無駄な会話をせずに進めたい。
少しは無駄な会話も必要かもしれないが、少なくとも目的を意識しない手段に振り回されることは避けたい。

以上を踏まえ、最近は次のことを意識するようにしている。

  • 本来の目的を話さずに手段から会話が始まっていないか?
  • 目的を理解してもらっているか?

話して、聞き手の両方で意識する必要がある。

上記を意識することで自分の気持ちの負担は軽減するものの、通じない人には通じないし、一度は理解するけど少し経つと意識から外れる人がいる。

先日の飲み会で「意識できるかできないかが大きい」みたいな話題にもなったが、正にその通りなんだろう。

意識から外れる人への対策として、ホワイトボードに 「目的」 と明記するなど、いつでも戻ってこれるようにしておく必要がある。
同様に 前提手段 もそうなのだろう。

手段は目的を達成するための選択肢のひとつでしかなく、目的達成が無理そうであれば手段を変えるのは当然だと思っているが、「手段に意識が奪われる人」もいて、そういう人は当然のことながら目的が意識から外れているから話がなかなか進まない。

他にも「すべてを他人事にする能力」や「リリース後に出来上がったものをしようとして扱う能力」の話もあるが、これはまた別の機会の話題とする。

懸念

当たり前のことしか書いていないため、「そんなの当たり前だよ」と思っている人が多いと思うが、そう思っている人はできていない可能性が高い。

経験則からしても8割以上の人ができていないと思うし、当たり前のことは意識から外れやすいのでできているとは思えない。

「当たり前」や「そうだよな」って肯定的に捉えることは意識から外れやすく、理解が浅いままの状態に陥りやすいと思っている。
この件も別の話題だな。